刑事裁判 判決

<注意>

傍聴時の書き取り記録です。書き取れなかった部分、言葉遣いが実際とは多少異なる部分があります事をご了承願います。

 裁判所名:横浜地方裁判所 川崎支部 刑事部

日時:2012年5月23日

事件名:動物の愛護及び管理に関する法律違反、詐欺

事件番号:平成23年(わ)第589号等

駒井雅之裁判官

傍聴券交付:当日午後12時45分までに指定場所に来られた方を対象に抽選

開廷:午後1時30分

閉廷:午後1時50分

 

【判決】懲役3年、執行猶予5年(保護観察付き)

 

平成23年6月頃から離婚をした事などによるストレスを受けたとして愛護活動に従事しているボランティアから猫5匹を騙し取り、そのうちの3匹を殺すなど、わずか1週間のうちに5匹を受け取り虐待と虐殺をするなど常習性が疑われる。

 

虐待目的を隠して愛護活動に従事していたボランティアから猫を騙し取り「一生可愛がる」など言葉巧みに嘘をつげて誓約書を差し入れるなど狡猾な手口である

さらに当日及び翌日に殺して2匹の猫を階段の上から投げ、もう1匹の猫を階段の踊り場で頭部を足で踏みつけるコンクリートにたたきつけ、別の猫にはキャリーバックに入れて近くの川に投げ入れ、別の2匹に関しては床に叩きつけたり、往復ビンタをするなどして殺傷した様相は誠に残虐で悪質極まりない。

 

被告人の言動が猫を飼育するのにふさわしいと思ったにも関わらず、猫を搾取された被害者は

被告の意図を見抜く事ができず悔いておりその精神的苦痛は計り知れない。甚だ芳しくなく罪は重い。

 

【執行猶予の理由】

・本人が反省している

・躁鬱病の病気が猫の虐待に影響していたことも否定できない

・父母が公判に出廷して、自己の近隣に住み監督をするということ

・前科及び前歴がない

以上により猶予の期間中に保護観察を受けるのが相当。

 

裁判官:「自分がやった事について二度とやってはいけないし、あなたは動物を飼うのにふさわしくない。これからこのような事は二度と起こさないで下さい。懲役3年で執行猶予中の5年間は保護観察がつき指導します。この次に罪を犯したら実刑判決になります。」

 

被告:「はい」

 

以上

 

刑事裁判 第二回公判

<注意>

数名による傍聴時の書き取り記録です。書き取れなかった部分、言葉遣いが実際とは多少異なる部分があります。

 

裁判所名:横浜地方裁判所 川崎支部 刑事部

日時:2012年4月25日

事件名:動物の愛護及び管理に関する法律違反、詐欺

事件番号:平成23年(わ)第589号等

駒井雅之裁判官

傍聴券交付:当日午後1時30分までに指定場所に来られた方を対象に抽選

開廷:午後2時30分

閉廷:午後5時(当初の予定より30分延長)

 

[検察官の起訴状朗読](聞き取り困難だったため、おおよその内容を記しています)

平成23年11月6日、里親募集サイトを経由してAさんから猫を譲り受けた件につき、終生大事にすると約束し誓約書に記名して猫をだましとった詐欺罪(刑法246条1項)

平成23年10月27日、Bさんから虐待目的で、スキとキラの面倒をみると誤信させ2匹を譲り受けた詐欺罪(刑法246条1項)

平成23年11月2日、真実は虐待する目的であったものを大事に飼うと装って同意書に記名し、2匹を欺いて交付させた詐欺罪(刑法246条1項)

 

裁判官:起訴状2通について尋ねますが、違っている点はありますか?

被告人:相違点はありません。認めます。

弁護人:同意見です。

 

[検察官の冒頭陳述](聞き取り困難だったため、おおよその内容を記しています)

平成23年の逮捕時、会社員と言っていたが実際は単身無職だった。

実際は生活保護を受けて生活していた。

5月からボランティアをしている個人から猫を譲り受け始め、6月中旬から猫を浴槽に沈めたり首を絞めたりし始めた。

6月下旬から、飼育する意図なくボランティアから猫をもらうことを繰り返し始め、11月の犯行に及ぶ。

 

[証拠調べ請求]

被告人から異議のあった証拠について

乙12、13について被告人不同意。

検察は本件の常習性を裏付けるものとして取り調べを要求。

弁護人は公訴事実とは関連性のない過去の証拠なので不採用を主張。

→裁判官が関連性ありとして証拠として採用決定。

 

検察からの証拠調べ請求

■被害者の聴取記録

(各被害者が費やした養育期間と費用について述べた後、被害感情に言及。)

被害者は譲渡に至るまで費用をかけて育てている。お見合いのときにケージや餌が用意してあり、猫に慣れているものと安心し、誓約書に記名押印してもらったうえで引き渡している。被害者の処罰感情は非常に大きい。

被害者Aさん「反省してほしい、虐待や動物の命を奪うことがどういうことか考えてほしい、それができないなら一生刑務所に入っていてほしい」

被害者Bさん「被告人の本性を見抜けず引き渡し、命が奪われてしまったことに対して懺悔の気持ちでいっぱい。動愛法、詐欺罪ともに、執行猶予のない実刑を望む」

「取り返しのつかないことをしてしまったと自分を責める気持ちでいっぱいで、この気持ちは生涯消えることはない」

被害者Cさん「虐待されて取り返した猫ちゃんは、現在の飼い主さんのことを怖がっています。人間に対してトラウマを持ってしまいました」

「数十匹の猫を虐待して殺してきた被告人の言うことは到底信じられない。人間の子供に被害が及ばないよう、長期間刑務所に入れて矯正してほしい」等々。

 

■元妻の証言(電話による聴取記録)

「猫の里親の保証人になってほしい」と被告人から電話があり、Cさんと話をした。被告人から頼まれ、断り切れずに肯定の返事をした。

 

■嘆願書

平成24年4月18日現在

通数:7184通

署名の数:3万5,537名分

(ただし、本人以外が書いているもの、同一人名も含まれています。また、まだ届いていない分もあるので正確な数は未確定)

検察官が「ここにすべて持ってくることができないほど大量である」と述べ、机の上の山積みの署名用紙を裁判官に示す。

 

■精神科医の診断書

現在の状態は、面会時には冷静で落ち着いて質問に答えている。

虐待についてはうれしそうな表情で話をし、記憶も正確。

固い表情はなく、幻覚等の障害もない。

命の序列はまず第一に人で、犬や猫は2の次3の次。

「猫がパニックになったので頭を踏みつぶして殺した後、死体の喉元をドライバーで突き刺したら、耳から鮮血が出て、それを見ていたら恍惚感を感じた」

「本来なら猫のしっぽはまっすぐでなくてはいけないのに、曲がった『かぎしっぽ』なので気に入らず、しっぽを根元からハサミで切ったりした」

自己中心的な性格で、責任能力は十分ある。

攻撃性があり、その攻撃性が子供や小動物に向かわないよう、再犯の予防につとめることが重要である、という内容。

 

■逮捕容疑以外の猫についての聴取内容

グンとニコルを譲渡されて、数日後に首を絞めて殺したのがきっかけ。

昨年5月、川崎市動物愛護センターの里親募集に応募して5月12日、1匹引き取る。

1週間後、玄関から外へ出てしまい、バイクの下に逃げ込んでしまった。バイクを押したらバイクが倒れて下敷きになり、猫が死んだ。

センターに連絡して、別の猫が欲しいと相談したが、「きちんと逃走防止策をとってくれない人には渡せない」と断られた。

5月30日、動物病院(犬の美容院?)で生後1〜2週間の子猫を2匹引き取るが、ミルクを飲まず、うまく育てられなくて2匹とも死んだ。獣医師には、生まれつきの発育障害と言われた。

6月15日、きちんとしたペットショップで買えば発育障害で死ぬこともないだろうと思い、アメショー(蘭丸)を9万円で購入。

ある日、ケージに入れようとしたら蘭丸に威嚇されたのでビンタしたり、しっぽを持って逆さに持ち上げ、振り回したりしたら失禁した。洗うつもりで風呂に沈め、何度か繰り返していたら死んだ。

殺すつもりはなく、懲らしめようとしたら死んでしまったのだが、ご主人様に逆らう者へのしつけが何ともいえず気持ちよかった。

 

【グンとニコルについて】

インターネットの里親募集サイトで猫を探し始め、Bさんから譲り受ける。

はじめはグンとニコルを大きくして子供を産ませようと思っていたが、グンは2、3日後に、ニコルは4、5日後に首を絞めて殺した。

猫の苦しむ姿がみたいと思い、だまし取って殺すことが目的だった。

首を絞めて、床に投げつけたりしていたが、首を絞めたときに失禁するとますます怒りがこみ上げてきて、「この野郎」と思った。

殺すことで陶酔感、弱者を支配することで快感を感じ、ストレスを発散するため、猫をだましとっては虐待を繰り返した。

 

【チビとハナについて】

7月下旬、チビとハナという2匹の猫をインターネットの里親募集サイトに応募し、だまし取った。大事に飼うという誓約書も書いていたが、チビは譲り受けてすぐに玄関ドアに投げつけて殺した。ハナもその日のうちに首を絞めて殺し、2匹の死体は元の飼い主に引き取ってもらった。

【蘭丸(ランとマル?)について】

ラン、マルも虐待目的でだまし取ったが、飼い主から夜に「返してほしい」と電話があり、翌朝に2匹を返した。そのときにはまだ虐待していなかったので、猫は元気だった。

【コブについて】

8月上旬、インターネットの里親募集サイトで見つけてだまし取った。

譲り受けた数時間後、玄関ドアに投げつけ、床にたたきつけて殺し、元の飼い主に電話して死体を引き取らせた。

【チップについて】

10月上旬にインターネットの里親募集サイトで見つけ、誓約書に署名の上でだまし取った。チップは長生きしたほうで、1週間くらい生きていた。デコピンしたり、天井に向けて放り投げたりしていじめ、その1週間後に首をしめて殺した。死体は生活ごみと一緒にごみ袋に入れて、ごみ捨て場に捨てた。

 

弁護人からの証拠調べ請求

1.被告人のかかりつけ精神科医の調書

2.元妻との電話での聴取内容

3.猫の餌を買える会社への「ベビーサポートプログラム」への申し込み内容

4.猫のマイクロチップ登録申し込み書

5.被告人が申し込んだアニコム動物保険の保険証

6.1.同様、精神科医師の診断書(障害年金受給のため)

 

1. 精神科医の聴取内容

(※個人情報のため省略)

 

2.元妻の聴取内容

(※個人情報のため省略)

暴力を受けたことはなく、夫婦喧嘩のときに殴られたり蹴られたりした程度。子供に手を上げたことはない。動物に暴力をふるっているところを見たこともなく、驚いている。本当に信じられない。

 

3. ロイヤルカナンという餌を買う会社への申込書

平成23年6月15日に本人が申し込んでいます。猫は「アメリカンショートヘア」と記載されています。

 

4. マイクロチップID

アメショーへのマイクロチップの埋め込み日は、平成23年5月11日です。

 

5. アニコム動物保険への加入証

2011年3月3日生まれのアメショー♂についての保険証です。

 

6. 精神科医の診断書

(※個人情報のため省略)

 

[証人尋問 被告人の父親](15:00〜15:35)

■弁護人→被告人の父親

(※個人情報のため省略)

弁:(事件当時)車で15〜20分のところに住んでいたということですが、普段から行き来はありましたか?

父:あまり……。月1回くらいです。

(※個人情報のため省略)

弁:事件当時に住んでいたアパートにはいつごろ移りましたか?

父:2年くらい前じゃないかと…。

(※個人情報のため省略)

弁:去年5月から11月まで、猫を飼っていたことをご存じでしたか?

父:はっきり覚えていないが、5〜6月ごろ、「猫を飼いたい」と相談されました。

弁:その後、猫を飼っていることを知ったんですか?

父:猫の写真をメールで送ってきて、「見に来てよ」「かわいいよ」と言われたので知っていました。

弁:虐待を想像できましたか?

父:想像もつきませんでした。

弁:猫は見ましたか?

父:一度だけ、部屋の中で見ました。

弁:何匹?

父:2匹。7月か8月ごろ見ました。

弁:その時の様子は?

父:かわいがってはおりました。(猫に)けがはなかった。部屋の奥に猫を飼うためのケージがあって、餌も相当量、置いてあった。1時間くらいいましたが、かわいがっているなあ、と……。

弁:7、8月以降は?

父:見てません。

弁:事件の原因は何だと思いますか?

父:難しいですね…。かわいがっていたけど、思うようになついてくれなかった、そこを無理やりかわいがろうとした……。病気のせいではないかと…。「うつ」のときは猫に近寄らないですから。「そう」のときは攻撃的になって、ちょっといやなことをされると猫にあたってしまう…。

弁:今後についてですが、事件当時に住んでいたアパートはどうなってますか?

父:解約して明け渡しました。

弁:今後、被告人をどういう環境におくつもりですか?

父:生活保護で暮らしていたので、今後も生活保護で…。二度と起こさないために、私どもが監視できる範囲内で、単身でアパートを借ります。一人暮らしでさみしくて猫を飼ったと聞いているので、近くに住んで散歩がてらお互いに行き来すればいいのでは……。

弁:なぜ同居しないんですか?

父:うちが狭いので。お互いにプライバシーもありますし……。プライバシー侵害、摩擦が起こらないよう別々に生活して、頻繁に行き来します。時には昼食や夕食に誘うなどして、一人のさみしさを紛らせられるようにします。

弁:その話は本人としましたか?

父:しました。

弁:部屋を借りられる見込みはありますか?

父:せがれの友人が不動産会社をやっていて、事件当時に住んでいたアパートもその友人に捜してもらいました。自分たちが管理している物件なら大家を説得できると言っています。本人が出てきたら相談します。

弁:仕事についてはどうしますか?

父:留置前に自分で見つけた、パソコンで文章を作る仕事があると言ってました。量は不明ですが。「逮捕されて以来、連絡してないのでどうなるかは分からない」ということですが。そんな風な仕事があればと思ってます。

(※個人情報のため省略)

 

■検察官→被告人の父親

検察官(検):去年猫を飼いたいと相談されたとき、あなたは何と答えましたか?

父:そのアパートで猫飼えるのか、と。飼えるなら飼えばいいんじゃないの、と。

検:被告人曰く、「お前じゃ猫は飼えないぞ」と言われた、とのことですが……。

父:そんなことは言ってないと思う。

検:以前、妹が猫を飼っていたとき、デコピンしたり、いじめたりしていた、それはご存じですか?

父:デコピンって?(検察官の指ではじく仕草を見て)、あっ、そう(笑)。見たことはないですが、聞いたことはあります。

検:被告人曰く、「父はそれ(猫に対するいじめ)を知ってたから、『お前じゃ猫は飼えないぞ』と言ったんじゃないか」と言ってますが、記憶ないですか?

父:あいまいです。

(※個人情報のため省略)

 

■裁判官→被告人の父親

(※個人情報のため省略)

 

[証人尋問 被告人の母親](15:40〜15:55)

■弁護人→被告人の母親

弁:本人とは別居中、連絡とってましたか?

母:1年前は月に1回程度、遊びに行ったりして(笑)連絡を取ってました。ときどき家にも行きました。

弁:逮捕後は面会に行ってますか?

母:2、3回行ってます。

弁:小さいときの様子はどうでしたか? 小さいときの性格とか……。

母:小さい頃はいざこざを起こすのが嫌いで、優しい子でした。

弁:学生の頃、学校でいじめたり、いじめられたこととかありましたか?

母:一度もないです。

弁:何かトラブルはありましたか?

母:高校の頃、よく遅刻して先生に呼び出されたことはあります。

弁:あまり手のかからない子供だったと?

母:はい。

弁:高校の頃、妹が野良猫を拾ってきたそうですが、そのとき本人はどういう関わり方をしましたか?

母:かわいがりたいけど、猫のほうが寄りつかなかった。なつかないから寄りつかないんです。

弁:虐待したことは?

母:虐待はしてないです(笑)。なかったです。

弁:今回の事件との関係はあると思いますか?

母:関係ないと思う。結婚してから、道路で交通事故にあった猫を拾ってきたことがあった。会社の帰りに見つけて、猫を抱えてきて、「目があったから、猫を助けてあげて」と言われたことがあります。近所の獣医に連れて行って診てもらったけれど、重症だったので助からなかった。でも、できることはやりました。本人は仕事があったので病院には行ってないですが、私(母)と妹が連れて行きました。本人は会社から帰ってきて「残念だった」と…。

(※個人情報のため省略)

弁:今回の虐待について、認識はありましたか? お父さんは一度猫を見たと言ってますが、猫を飼っていたことは知ってましたか?。

母:主人にメールが入るので、見せてもらったことがあります。実際に見たときは、すごくかわいがってました。部屋の状況からも分かりました。虐待してる様子はなかった。

弁:悩んでる様子とかはなかったですか?

母:「なかなかなついてくれないのでさみしい」とは言ってました。

弁:いつごろですか?

母:平成23年10〜11月ごろです。

弁:今回の事件の原因は何だと思いますか?

母:1つは、そううつ病のせいです。2つ目は、離婚して1年目で、さみしくて癒されたくて飼い始めた、最初は彼自身、とっても努力してなんとかかわいがっていたけれど、なかなかなついてくれず、イライラが募ってそうなったのではないかと思います。

弁:うまくいかないことが虐待につながったということですが、猫ではなく、人間の子供や女性に向くことは考えられないですか?

母:それは絶対ないと思います。気の小さい子で、家には包丁さえ置かない子。血を見たくないというか、ナイフとかがあると「ちゃんとしまってください」と言うくらいですから……。自分の部屋にもナイフなどはなかったです。気が弱いんです。

弁:虐待が子供に及ぶことはないと?

母:ないと思います。子煩悩なので、それはないと思います。

(※個人情報のため省略)

弁:(今後)どうしたらよいと思いますか?

母:本人が元気になって自分の好きなことを見つけるのが一番いいのだけど……。

弁:そのサポートをすると?

母:はい。

 

■検察官→被告人の母親

検察官:ご主人と猫の様子を見に行ったのは10月ごろですか?

母:はい。

検:ご主人の話では、7月~8月ということですが。

母:私が一人で遊びに行ったのは10月ごろです。

検:一人で行ったこともあるんですね。ご主人と2人で行ったこともある。いずれも猫がいたけど、虐待には全然気づかなかったのですか?

母:全然気づきませんでした。

検:被告人自身の供述で、「妹の目を盗んで、飼っている猫にデコピンをしたり、BB弾を撃ったりしていじめていた」というのですが、ご存じですか?

母:……知りません。私の目の前で、(猫の)鼻を指でピンとはじいたりしてましたが、それはかまってるんです。だから寄りつかなかったんです。虐待とは思いませんでした。

検:猫が寄りつかなくても、それは虐待ではなく、かまっている、という感覚ですか?

母:はい。

検:本人の家に行った時、猫は見てますか?

母:見てます。

検:猫がいたが、ぜんぜん虐待に気づかなかった?

母:気づかなかったです。

検:被告人が「血を見たくない」というのは今も変わらないと思いますか?

母:……(小声で)分かりません。

検:病気の原因について、病状について、病院の先生とは話しました?

母:あそこの病院には一度も行ったことありません。お嫁さんと一緒に行っていたので、私はよく分かりません。

検:今回の事件は病気が原因と主張していますが、先生と話し合う必要があるとは思いませんか?

母:……。

 

■裁判官→被告人の母親

(※個人情報のため省略)

栽:お父さんは「被告人と仕事中も仕事の後も一緒にいるのは大変」と言ってましたが、お母さんはどうですか?

母:確かにそういう時期もありました。

栽:被告人がアパートを借りて生活するということですね。同居できないと。広くないので一緒に暮らすことはできない?

母:できません。

 

[被告人質問]

■弁護人→被告人

(※個人情報のため、省略)

弁:事件当時の(そううつ病の)症状はどうですか?

被告人:けっこう悪かったですね。

弁:生活保護を受けながら、何を見て仕事に応募してましたか?

被告人:情報誌、『タウンワーク』とか、無料のやつをみて探してました。

弁:履歴書を書いているときの気分はどうでしたか?

被告人:正直申し上げて、非常に苦痛です。理由は3点ほどあります。1.字をうまく書こうと必死になること、2.間違えないよう必死になること、3.飲んでいる薬の副作用で手が震えるので、その震えがないときに書かなくては、というその3点です。

弁:就職活動がストレスになったと?

被告人:はい。

弁:ストレスのあるときの状態は、「そう」「うつ」で言うとどちらの状態ですか?

被告人:「うつ」です。

弁:猫の虐待は、ストレス発散のためでしたか?

被告人:そこでストレス発散してた感がありますね。

弁:医者は「無理してやらなくてもいい」と言ってるのに、月2社くらい応募していたのはなぜですか?

被告人:やっぱり生活保護制度があって、私よりもっと症状が重い人には必要ですが、私は働ける、健康体だ、という思いも少しあります。また、アルバイトでもいいから「働き始めたよ」と言えば、おやじ、おふくろが笑顔のひとつやふたつ見せてくれるかな、と。

弁:なぜ犬ではなく猫を?

被告人:過去に妹が飼ってたので、どっちかといえば猫になじみがありました。あのアパートではペット禁止なので、わんちゃんだと啼くので飼えない。それで猫を。カメあたりでもいいかと思ったけど(笑)、子供が飼ってて掃除もせず、家内が水槽を洗っているのを見て、面倒くせえな、と思いました。消去法で猫。

弁:昨年5月ごろから飼い始めたということですが、何を求めていたんですか?

被告人:癒しです(即答)。

弁:かわいがって癒しを受けたい、と。虐待する想像はついてましたか?

被告人:想像だにしなかったですね。

弁:小学校のときに、妹(本人?)がインコを飼っていたらしいですが、虐待しませんでしたか?

被告人:ぜんぜんないです。逆にインコの飼い方をよく知らなくて、水か餌をやるために鳥かごを開けたらインコが飛び出して、蛍光灯にぶつかって死んでしまいました。こんなに簡単に死んじゃうんだな〜って思いました。で、だったらかわいそうだからもう飼わないほうがいい、と。

弁:猫は責任を持って飼う気持ちはあった?

被告人:はい。

弁:グンとニコルの2匹を殺したころから、虐待の目的を認識し始めたんですか?

被告人:はい。

弁:それ以前に、実際に飼っていた猫の世話は?

被告人:(勢いよく立て続けに)おトイレしたらおトイレをすぐきれいにして、トイレの砂をシャベルですくってきれいにしたり、定期的に一定量の餌をあげて、お水は常に入れておいて、という感じですね。

弁:家にあったミルクを入れるスポイト、哺乳瓶、猫じゃらしはどこから、誰が持ってきたんですか?

被告人:自分で買ってきたり……、スポイトと哺乳瓶は2匹目、あっ、う〜ん……。動物病院から……の猫ちゃんをもらったときのかな……(しどろもどろになり、答えられず)。

弁:虐待に徐々に変わったということですが、猫が自分の思い通りになつかないのがきっかけですか?

被告人:はい。

弁:そのときは猫に腹を立てる、怒るんですか?

被告人:はい。

弁:腹を立てるだけでなく、征服感、ストレス発散というのもあると?

被告人:はい。そういう気持ちがあります。

(※個人情報のため省略)

弁:虐待目的で譲り受けた人に、「殺したよ」とメールで伝えたこともあったようだが、その時の気持ちはどんな感じでしたか?

被告人:供述にはないかもしれませんが、最後の猫ちゃん、ミスティちゃんだと思うんですが、いい加減、もらっては殺して、もらっては殺して、というのが図々しい言い方かもしれないけど、疲れちゃった(笑)。Aさんに打ち明けることで手打ちというか、歯止めをかけたいという気持ちが働いたんだと思います。

弁:自分でもやめなければいけない、と思ったんですか?

被告人:はい。

弁:それでも10匹以上やっているのは、逆上すると歯止めがきかないから?

被告人:はい。

(※個人情報のため省略)

弁:ミスティーちゃんの件で「警察に通報します」と言われたとき、どうなると思いましたか?

被告人:……。(答えず)

弁:警察に伝わったらどういう処罰を受けるかとか、分かってましたか?

被告人:多少なりとも、動物なんとか……え〜と(笑)、愛護法があって(笑)、懲役1年以下、罰金100万以下というのはなんかで知っていたので、通報されて警察が動くと聞いた時には、それらの処罰は食うんだろうな、と思ったと同時に、これで逆に楽になれると思いました。

弁:自分にとってはこの状況はやむをえないと、当然だと思いますか?

被告人:はい。

弁:それは自暴自棄ですか? それとも反省ですか?

被告人:後者です(かなり早口で)。

弁:自分の行動を振り返ってどう思いますか?

被告人:自分の行動ですか? そうですね……。けして少なくない頭数の猫ちゃんを、14、5匹だと思いますが、これらの猫ちゃんが成仏できるように日々祈ってますし、実際世間に出て、実社会に出て猫に関わらないようにしたほうがいいかもしれませんが、逆にボランティア活動に身を呈したほうがいいのではないかと思ってます。

弁:今後の住まいはどうしますか?

被告人:やはり両親の近くにアパートを借りて、両親に保護観察(笑)して見張ってもらえると、正直、私も安心できます。

弁:両親と相談して進めていける、と。病気についても同じように協力してやっていくつもりですか?

被告人:はい。

 

-嘆願書に書かれている猫の数について、被告人に嘆願書を見せて弁護士が質問する。

弁:「12組20匹の子猫を手に入れて」と嘆願書には書かれていますが、記憶としては14、5匹で間違いないですか?

被告人:間違いない。だいたいそれくらいです。

弁:「12組20匹」は、確実にない?

被告人:もしかしたら20匹近いかもしれませんが、20匹を超えることはないです。記憶としては14、5匹なので、そっちのほうが正しいです。

 

--被告人が被害弁済について立ち上がって発言。

被告人:被害弁済について、一言、言いたいです。目下のところ、預貯金がそれほどないですからすぐにはできませんが、長期的なスパンで見ていただいて、被害弁済していきたいので、よろしくお願いします。

 

■検察官→被告人

検察官:昨年の4、5月、最初の猫を飼うときにお父さんに相談しましたか?

被告人:はい。事実です。

検:お父さんは何と言いましたか?

被告人:「お前の住んでるアパートは猫を飼えないだろう」「モモのこともあるから、お前には猫は飼えない」

検:捜査段階で言ってたように、「お前に猫は飼えない」と言われたんですか?

被告人:はい。

検:なのに、なぜ飼い始めたんですか?

被告人:(笑)飼いたいものは飼いたかったから(笑)。

検:妹の猫をたたいたり、指ではじいたりしていたのは、そううつ病の前ですね?

被告人:前です。

検:インターネットの里親募集サイトを利用し始めた理由はなんですか?(被告人、なかなか答えず)なんでお金かけて買わなかったの?

被告人:小金を出して買うほどのものではないと思ったからです。

検:被害者に対してはどう思ったんでしょうか? 

被告人:とても猫にとって愛情を持っている方だと思いました。猫に愛情を持った人達がこんなにいて、熱心に保護活動しているんだなと。

検:猫に愛情を持って保護活動をしている人から猫をだましとることについて、何か感じたことはないですか?

被告人:黙っていれば、虐待をしてもそうそう見つかるものではない、と甘くとらえてました。

検:ペットショップで買う場合もあると思いますが、保護活動をしている人たちに与えるダメージは、業者に与えるものよりも大きいとは思わなかったですか? 当時の認識はどうだったんでしょうか?

被告人:そこまでは考えが及んでなかったですね。

検:スキとキラについて、きっかけは威嚇行動だったとのことですが、放り投げて頭を踏みつけた、その時の感触はどうでしたか?

被告人:逆上してたので、正直……、あの……(沈黙)。

検:覚えてないなら、それでいいですよ。

被告人:そうですか……。逆上してたので、覚えてないんです。

検:(キラを)数回踏んづけて、その後、顔を確認したということですが、そのときどう思いましたか?

被告人:やっちゃった、と思いました。

検:どういう意味で「やっちゃった」と思ったのでしょうか?

被告人:数回踏みつけ、タバコを消すように踏んだ後、顔を確認すると、顔がゆがんでいたので、やっちゃったな、と……。

検:「やっちゃったな」というのは、「しまった」という思いなのか、あるいは、自分のしたことがダメージを与えるものだったので「やった!」というような思いなのか?

被告人:前者です。

検:血は出てませんでしたか?

被告人:アパートの階段の踊り場に血がダーッとついてしまって、あとで掃除をしないといけないなと思わせるような、残酷な現場になってました。自分でもひどいことをした、と。

検:その後はどうしたんですか? 家に戻って何をしましたか?

被告人:その後、部屋に戻って(笑)、もう1匹、スキちゃんを見たら、部屋の隅のPCラックの角で私を睨みつけてグルルルル…と威嚇していたので、じゃあ、お前も同じ目に合わせてやると、同じように放り投げました。キラちゃんの場合、踊り場で血が出て(掃除が)大変そうだったので、ブロック塀……、住んでいるアパートが崖の中腹に建っていて、コンクリートの壁があります。そこのところに顔を正面から数回ぶつけました。手に持ったまま壁にぶつけて、顔を見ました。顔がゆがんでいるというか、つぶれていました。

検:今、右手で小さく丸めて前に突き出すように手を差し出してましたが、投げたのではなく、手に持ったままぶつけたということですか?

被告人:はい。

検:その後、顔を見たんですか?

被告人:はい。見ました。

検:ゆがんで死んでたんですね?

被告人:ゆがんでいたというより、まっすぐぶつけたので、すぐつぶれてしまいました。

検:よく観察してるんですね?

被告人:(ちょっとうれしそうな声で)はい。あはっ(笑)。

検:高校の時、猫を飼ってたんですから、猫の習性というものは知ってますよね?

被告人:知ってます。ある程度は。

検:猫というものは、怒ったりしてしつける類のものですか?

被告人:飼い主の思い通りにさせようとするのは、飼い主のエゴだと思います。

検:猫の習性を受け入れた上で飼育しなくてはいけないことは分かってますよね?

被告人:はい。

検:マルとパクのお見合いをして、すでにもらうことが決まっている状況でさらに2匹、スキとキラをもらってますが?

被告人:その辺から、どの猫を幾日にもらって、といった前後関係がマヒして、全然覚えてないんですよ。

検:普通は、飼って面倒をみるのであれば覚えてるはずですが、覚えてないというのは、いずれ殺すものだからですか?

被告人:(小声)そんな感じでしょうね。

検:逆上すると歯止めがきかなくなる、という自覚はありますか? それは病気のせいなのか、性格のせいなのか、どっちでしょうか?

被告人:性格って言われると……。母が「どちらかというといざこざを起こすのが嫌いなタイプ」と私を証言したと思うんですが、そうなると成長途上での性格の変化なのか、病からくるものなのか……。

検:自分の中ではいずれとも確定できないということですか?

被告人:はい……どちらか自分でも分からないです。

検:弁護士の証拠に目を通していますか?

被告人:はい。

検:そううつ病の症状について書かれている診断書です。そううつ病といってもいろいろですが、この事件については「そう」の状態でやったことと思われますが、医師が何と言っているか知ってますか? 診断書を見ると、そう状態の病態の「怒りっぽい、怒りやすくなる」のところに○が付いてないんですよ。程度、症状について、医師の診断書では、「『そう』のときに怒りっぽくはならない。浪費が見られる」と書いてあります。自分で把握してないなら、把握したほうがいいですよ。

被告人:……。

 

■裁判官→被告人

(※個人情報のため省略)

栽:猫を癒しのために飼っていた、と言ってましたが、長い間飼うことなく、すぐ虐待して殺していますよね? それはもう癒しが目的ではなくなった、ということですか?

被告人:そうですね……。あのー…。こう申したらあれなんですが、この後は何らかの形で刑を与えられて実社会に出て行くと思うんですが、猫とは正直、関わりたくないです。

栽:被害弁済について言ってましたが、被害者感情が非常に大きく、一生刑務所に入ってほしいと言ってますよ。弁償を受け入れる状況でないということは、分かりますよね?

署名が数万あるということについて、どう考えてますか?

被告人:非常に社会的反響というか、猫を愛する方が多いんだなと思うと同時に、私がやったことの社会的反響というのが、私が思っていた以上に大きいんだな、というのが実感です。

 

[論告・求刑]

(検察官が公訴事実等を読み上げ、詐欺、動愛法違反ともに悪質極まりないと意見。)

検察官:保護ボランティアは、相手の適格性を確認して猫を引き渡している。保護ボランティアにとって猫はかけがえのない存在であり、だまし取られて殺傷された精神的苦痛、自分を責める気持ちは非常に大きく、再犯に及ぶと思われるので厳罰を望んでいる。

13匹もの猫を手に入れ、9匹すべて故意に殺した動機は、自己の支配欲を満たす、快楽のためであり、動機に酌量の余地はない。

たとえそううつ病だとしても、被告人の「そう」のときの状態は怒りっぽいというものではなく、その点を過度に斟酌すべきではない。

規範意識の希薄さは明白で、反省がうわべに留まることが伺いとれ、被告人の規範意識の鈍磨は顕著である。

子供への虐待とは異なり、動物は簡単に手に入るものであり、監督者がいない状況では再犯の可能性がある。父母ともに、月に1回アパートを訪れていると言いながら、猫の虐待が認められる状況の間、虐待に一切気づいていなかったのだから、同居せずに監督など到底できるはずがない。

動愛法の罰則が新設されるなどしている中のことでもあり、動物虐待事案に対しては一層厳罰で臨む必要がある。

嘆願書も出され、メディアも注目している。

野良猫を手術するなど積極的に活動している保護ボランティアから猫をだまし取り、ボランティアが最も苦痛を受ける残虐な方法で殺しており、単純な動愛法の虐待事件ではない。

 

たとえ前科がなくても相当期間刑務所に収容する必要があり、懲役3年に処するのが相当である。

 

[弁護人の弁論(要旨)]

弁護人:(被告人の経歴に触れ、虐待などかつてなかったと強調したうえで)仕事に就けずストレスがあり、テレビをみて猫を飼ってみたい、ストレス解消したいと川崎市動物愛護センター、ペットショップから猫を譲り受けたが、逃げたり死んでしまったりした。

ミルクをあげたりして飼育しようとしていたが、去年6月に偶然、アメリカンショートヘアを誤って殺してしまい、それ以降、虐待目的でもらいうけるようになった。

征服感、ストレス解消が目的で、虐待の時は「そう」の状態である。

健常者と比べると自己制御が難しい。

ストレス、そう状態が事件の原因だが、そううつ病発症については本人を責められず、治療も放置していたわけではなく、酌量の余地があるのではないか。

本人は罪を認め、逮捕後は素直に供述し、猫に弔意を表し、改心している。

反省が得られれば、規範意識の改善の余地はある。

治療を継続し、生活のサポートもあり、一切の前科もない。

虐待くらいならという甘い規範意識があったが、このような社会的反響を呼び起こしてすでに社会的制裁もある程度受けており、本人も反省しているので、実刑は相当でない。

単純な”刑”としての懲役は相当でなく、社会での更生が望ましく、執行猶予を求める。

 

[被告人の最終陳述]

被告人:これまで14、5匹のかわいい猫ちゃんをいとも無惨に、残虐に殺してしまったことを大きく反省しております。亡くなった命はもう戻ってきませんが、これから不幸な猫ちゃんが一匹でも出てこないことを祈って私自身、殺してしまった猫ちゃんの成仏を一生かけて祈って参りたいと思っています。本日はどうもありがとうございました。

 

裁判官:判決の言い渡しは、5月23日午後1時半から、同じ第1号法廷になります。

 

以上

 

 

刑事裁判 初公判

日付:2012年2月15日(水)13:30~14:00
裁判所名:横浜地方裁判所 川崎支部 刑事部
事件名:動物の愛護及び管理に関する法律違反
事件番号:平成23年(わ)第589号

■起訴状朗読
①平成23年11月1日午後4時頃
アパート階段上から猫2匹を砲丸投げのようにして9.8メートル下方の路上に投げ
落とし、左足で踏みつけた。
1匹はアパート左の壁に叩きつけて殺し、1匹は踊り場で顔面を踏みつけて殺した。
②11月2日 夜8時
室内で1匹は顔面を床に叩きつけ、1匹は左手で往復ビンタのように叩きつけた。
③11月7日
1匹を岡上路上フェンスから6.3メートル下方の鶴見川に投げ捨て殺した。

■身上、経歴
(個人情報のため割愛)
平成23年5月、保護ボランティアから猫を譲り受け、6月中旬から虐待し始める。

■起訴事実①について
平成23年7月、里親サイトからAさんの猫2匹を譲り受け、4、5日後、首を絞めて
殺し、川へ投げ捨てる。
10月、Aさんから連絡を受け、スキ・キラを譲り受けることになり、11月1日、
Aさんがアパートに2匹を連れてきて引き取る。
その日の夕方、①の犯行に及ぶ。
キラが言うことをきかないので2階から約10メートル下に砲丸投げのように投げ
捨て、さらに、外に出て階段の踊り場で、血まみれの頭部を力いっぱ い踏みつ
けて殺す。
部屋に戻るとすぐ、スキが怯えて威嚇したため、腹を立てキラと同じ方法で殺し
てやろうと思い、アパートのコンクリの壁に叩きつけて殺し、同アパートから
砲丸投げのようにして投げ落とし、スキが地面に叩きつけられるのを確認、
その後犯行が発覚するのを恐れ、アパートの裏の茂みに2匹の遺体を隠す。

■起訴事実②について
10月下旬、続けてインターネットの里親募集掲示板でBさんに連絡をとり、パ
ク、マルをもらうことになる。
11月2日、Bさんから2匹を引きとるが、子猫がトイレをきちんと使えなかった
ので、また、走り回ったために殴打などして虐待。
その日の夕方、2匹がトイレがきちんとできないことに腹を立て、パクをフロー
リングに数回叩きつける。
マルは顔の近くまで持ち上げて、顔面を往復ビンタのようにして数回殴り、鼻
から出血させる。
11月4日夕方、Bさんがパク、マルを取り返す。

■起訴事実③について
室内に猫がいなくなったので、その日のうちにインターネットで他の子猫を探
し、生後6か月のミスティをもらうため、Cさんに連絡する。
Cさんが廣瀬の家へ11月6日にミスティを連れて行く。
夜、部屋を走り回るので腹を立てる。川に生きたまま投げ捨てて殺そうとし、
「とんでもない猫です、川に生きたまま捨てました、今ごろもがいている で
しょう」とメールし、キャリーバッグにミスティを入れ、自転車で鶴見川へ行
き、フェンスごしに投げ込んで溺死させる。
Cさんが警察に通報し、警官とアパートに行くと、アパート横で2匹の猫の遺体
を発見する。
その後、Cさんが鶴見川でミスティの遺体を発見する。

■スキとキラの外見記録
(日本大学 獣医病理で解剖)
スキ:頭から眼下にかけて出血あり。打撲が示唆される。
頭頂部及び左目への強い打撲により、急死した可能性。
生存時に出血あったものと思われる。
死因は、頭蓋、頸部の傷害。
キラ:左頭蓋骨に骨折あり。
生前に致命傷を受けたことによるショック死。
死因は、頸部の傷害。

■スキ・キラの譲渡について
グンとニコルを譲り渡し、その後、スキ・キラは韓国人留学生が飼っていたが、
飼えなくなったため廣瀬に事情を話し譲り渡す。
廣瀬は、ニコルは避妊手術の傷が化膿したため入院中、グンも去勢手術のため一
緒に入院中と説明。
スキとキラも最初から育てる意思はまったくなく、ストレス発散のための虐待目
的で貰い受け、その日のうちに殺害した。
スキとキラがいなくなってから、ストレスのはけ口がなくなり、再びインター
ネットなどを通じてボランティアや個人から里親募集の子猫を貰い受け た。

■パク・マルの譲渡について
次に貰い受けたパクとマルは、マルは可愛いと思ったが、パクは可愛くなかった。
でも2匹一緒という条件だったため、仕方なくパクも貰い受けた。
パクは走り回ったためフローリングに叩きつけた。
マルは顔の高さに持ち上げて往復ビンタのように何度か叩いた。
取り戻した時、2匹の目が涙目で、鼻血、眼底出血があった。
医師によると、落下による打撲、虐待を否定できないとの診断。

■ミスティの譲渡について
Cさんから引きとった際、終生家族の一員として可愛がると誓約書に署名してい
る。
ミスティが威嚇をしたため、Cさんに「とんでもない猫です。こんな猫は今まで
見た事がない。生きたまま川に流しました。今ごろ生きてもがいている でしょ
う」とその日の夜にメールをし、その後、高さ6.3メートル下の川に、生きたま
まミスティを投げ落として殺害した。
Cさんが、「何をしたんですか、警察に通報します」とメールすると、「何もし
てません。私が熟睡してたときのことですから、夢の中の出来事です。警察に通
報したければ、どうぞ」と返信。

■虐待の動機・方法
10匹くらい殺している。
猫が粗相したり、「シャー」と鳴いて威嚇してきたりしたとき、逆上し、猫
の首を絞め、苦しむ姿を見てほくそ笑む。一気に殺さず、死にそうになった
ら手を緩めてやめる、を数回繰り返し、苦しむ姿を見て喜ぶ。
征服欲が満たされる。
虐待してストレス発散しているという自覚がある。
妻と離婚して一人暮らしのさみしさ、うっぷんを晴らすためやっていた。

■虐待状況の調書
そもそも猫はそれほど好きではなかったが、テレビを見て、猫は意外と賢いか
も、と思った。一緒に暮らせば好きになるのではと思い飼い始めた。
しかし何匹目かの子猫が、しばらく育てた後、トイレの粗相をしたため、怒って
風呂場の水に何度か頭を沈め、殺した。
その時に子猫がぐったりしたのを見て、今まで味わったことのない快感を覚え
た。とてもいい気分になった。
グンとニコルは、首を絞めて殺害。一気に殺すのではなく、ぐったりすると手を
緩め、何度も苦しませて殺害した。
子猫が死ぬと何とも言えず気分がよくなった。
気持ちがすっとして気が晴れた。
猫の苦しむ姿が見たかったので、インターネットサイト「いつでも里親募集中」
で譲り受けた。

第2回裁判は、2012年4月25日、14:30~16:30、第一号法廷の予定。